文豪の書物置き場

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編集者から逃げるために50億ドル強奪ミッションに参加してきた -人狼 The Live Playing Party 2014/03/21 19:00 レポート-

     人狼 The Live Playing Party 2014/03/21 19:00の回に参加してきました。二回目のトライアルです。というわけで、レポを書きました。ご笑覧いただけたら幸いです。

 レポ中に失礼な表現があると思いますが、あくまで劇中の話であり他意はありませんので、ご理解いただければ幸いです。 

 

自己紹介

「では、状況を整理しましょう! この13人の中に人狼ドラッグを決めたものが3名! 」

「俺達は今から人狼ドラッグを決めたクソ野郎をぶち殺すための会議を始める。まずは自己紹介からだ」

 闇医者フランクとマフィア幹部ダテが取り仕切り、50億ドルの配当を狙う13人が自己紹介を始めた。この場にいるのは以下の13人。

  • 詐欺師:タウン 
  • スナイパー:キンバリー
  • 闇ナース:ナディア
  • 武器屋:ピコ―
  • 運び屋:イーノック
  • 闇医者:フランク
  • マフィア幹部:ダテ
  • バウンサー:チェルシー 
  • ドラッグディーラー:ダルク
  • 倉庫番:モッフン
  • 先生:ネオ
  • 情報屋:メグル
  • 泥棒:アッサリン

 イーノックは、堅気である恩師ネオをこのミッションに巻き込んだことを詫びた。今更だな。とりあえず足は引っ張らないでほしい。

 50億ドルで生き別れの姉を探すつもりだったモッフンは、図らずしも当の姉であるキンバリーと再会を果たした。とりあえずモッフンは、金をもらう理由が無くなったから、生きて帰るために死に物狂いで戦ってくるだろう。

 フランクは姉のナディアと共にアッサリンマスコットキャラクターとした医院を作る野望を持ち、そのフランクに興味津々とピコーは目を光らせていた。金への執着という意味では、フランクが一番厄介だ。

 おおかたチェルシーは、生き残ってまたスフレを焼いてダテに食べさせようとでも考えているんだろう。聖母のような表情を浮かべているが、根はドス黒い。油断してたら殺される、気をつけねば。

 メグルは師匠であるヘルシーが死んだにしては、結構サバサバしてるな。相変わらずつかみ所のないヤツだ。

 

「よくこんなメンバーでミッションを成功させられたな!!」

 全員の自己紹介が終わった後でダテが驚いていた。私もそう思う。だが、こんなメンバーでミッションを成功させるためには、鋼の統率力が必要だ。つまり、人狼と戦う上でダテの統率力は味方なら頼もしく、敵なら恐ろしい。ダテが人狼ドラッグを決めてない事を祈るしかない。

 

 たとえ人狼に殺されなくても、締め切りが過ぎたら編集者に殺される。それまでに原稿を上げて、編集者に叩きつけてやる。

 

 13人がそれぞれの思惑を抱いて、バグだらけのミッションが始まった。

 

 1日目

 とはいっても、何から話せば良いのか。とりあえず、チェルシーに恨みはあるといってたダルクを突いてみたが、そこまで強い意志ではないらしい。ふむ、直情型では無さそうだ。あとはキンバリーとモッフン、ナディアとフランクが姉弟、真偽は不明だがチェルシーとダテが親子。チェルシーとダテは大丈夫だと思うが、後の二組は情に流され兼ねない。警戒しておくべきであろう。
 
 ダテがメグルに作成の立案を頼んだ。「予言者を出してはどうか?」とメグル。良い提案だ。ドラッグ決めた手合が出てくれれば話がわかりやすくなる。2人以上出てくるようだったらそこでまた人狼を追い詰める手がかりになる。だが、この案に賛成したのは過半数以下で却下。なるほど、ドラッグを打つような手合いだ。ヘタレたか。
 
 そこへフランクが新しい提案をしてきた。トランプを13枚配り、J,Q,Kの絵柄札を引いた三人を疑っていくという作戦。なるほど、まず3人決めて詰めて、ボロを出したらさっさと処刑してしまいばいい。いい作戦である。フランクは人間だろう。
 カードを引いた。Jだった。おい、私が詰められてしまうぞ。ろくでもない提案しやがって、フランクふざけんな。
 
 詰められるのは私タウンと、イーノック、ナディア。仕方が無いので、自分なりにフランクが人間らしいこととその理由などを話した。どこまで信用してもらえたかは分からないが、ひとまず怪しいとは思われなかったようだ。一安心。3人詰めたが全員人間らしいという感想が出たが、私も同感だった。
 
 その後、投票についてカードの順に投票する案、最初に票が入った3人に集中させる、という案が出たが、怪しい動きをしている人物がいないか探してて話に参加していないこともあり、あまりよく把握していない。見る限りでは、ネオがやや固めでなにか隠し持っている、メグルは偽物の予言者を出したがっている本物の予言者と仮説を建てた。今日はこの2人には投票はしないことにした。
 
 投票が始まり、カードの順に投票することになった。私は11番目、比較的考える時間があるのは幸いだった。おかげで、明らかに怪しい手合に投票することができた。自分に3票入り「私を殺したら後悔しますよ」と言っているにも関わらず票が集まっていないダルクに票を入れて、自分が助かろうとしなかったピコーだ。
 決選はイーノック、ピコ―、ナディア。投票は当然ピコー。4票同士でピコ―とナディアの決選投票。ここでピコーがようやくドラッグ決めたと嘘を吐きやがった。私はもうお前のことは一切信用しない。二回目の決選でも投票したが、処刑はナディアに決まった。まあ、人狼の可能性がゼロではないが。ピコーを殺っておきたかった。
 
 「身内の不始末は自分でつける」
 フランクがナディアに銃を向けた。そういえば、姉と巨塔を作ると言っていた。野望は叶わないが、悪く思うな、フランク。
 
 

2日目

 イーノックが襲撃されていた。まだ人狼の可能性はあると思っていたので少し意外だった。決選の時もドラッグ決めたとは言っていなかった。つまり、予言ドラッグと霊媒ドラッグを決めた輩はまだ生きているということか。
 昨日の話を受けてピコーが予言CO。モッフンを最初から人間、昨日嗅いだのはフランクで人間、と。そこからメグルが対抗で予言CO。最初から知っていたのがピコーで、昨日嗅いだのはダテで人間。
 「うわー、どっちも信じたくね―!!」
 ダテが嘆く。確かにどちらも本物らしさはないが、3人目の予言者が出てこない以上、消去法でメグルになる。昨日の投票でも、ピコーが狂人と考えると辻褄が合う。自分以外に票が集まっている人物が人狼だった時のことを考えて、票が集まっていないダルクに投票した、と。
 私はもうメグルを本物の予言者と決めることにした。ここまで予言者が出ない以上、彼女を本物とするしか無い。ピコーが本物だったら、チェルシーに折檻してもらうことにする。
 
 とりあえず能力者の話は置いておき、ダテが意見の出ていないダレル・モッフン・ネオの三人の話を聞きたいと立たせて話させる。しかし3人共ふわりとした意見しか出てこない。キンバリーが特にモッフンに詰め寄っているが、当然だ。キンバリーにしてみれば、やっと再会した弟が人狼ドラッグ決めているとは思いたくないだろう。しかしそれでも明確な意見は引き出せなかった。
 
 「霊媒ドラッグを決めた奴はいないのか?名乗り出ないということは、今日死なない自信があるんだな!?」
 ダテが少し苛立った風に尋ねるが、誰も名乗り出ない。名乗り出ないということは、きっとナディアは人間だったのだろう。あとは、今立っているダルク・モッフン・ネオが名乗らないということは、この3人以外が霊媒師。おそらくはアッサリンチェルシーのどちらか、か。
 最悪のシナリオがあるとしたら、キンバリーやチェルシー人狼の場合か。この場合、何も手がかりのない人間を寄ってたかって嬲ってるだけになる。一応2人が人狼の線も残しておく。
 
 結局有益な情報が出てこないまま投票の時間になった。案の定、ダルク・ネオ・モッフンに投票が集中する。そこへダルクが私に投票してきた。悪いがこの票は納得がいかない。私はダルクに投票した。結果、ダルクとネオが競る形となり、フランクが決定票を入れてダルク処刑が決まった。おそらくは人狼だと思うのだが。さてどうなるか。
 
 

3日目

 キンバリー襲撃。どうやら最悪のシナリオとして考えた仮説は違っていたらしい。すぐに修正できて良かった。
 議論が始まるやいなや、アッサリンが手を上げて飛び跳ね始めた。猫ドラッグが切れたのかと思ったが、予言結果と霊媒結果を同時に出したいという提案だった。なるほど、やはりアッサリン霊媒か。
 「では、俺の掛け声で予言者は予言結果を、霊媒師は霊媒結果を宣言すること、いいな!」
 ダテが皆に呼びかけた。
 「せーの!」
 

     \(^ω^)/===3 ズサーーーー!

 
 何か猫が滑りこんできた。
「で?アッサリンとネオが霊媒師で、ダルクは人間だったってことか?」
フランクが状況整理を始める。アッサリンに目を奪われていたが、顔を上げるとメグルがネオを人狼と指差し、そのネオが霊媒結果を宣言していた。一体どうなっているんだ。
 
 やや場が混乱したため、状況の整理が始まった。ピコーは私タウンを人間と。どうでもいい。メグルはネオを人狼と。そして昨日処刑したダルクをネオは人間、アッサリン人狼と判定。
 
 アッサリンのとったポーズはなんだったのか検証することになった。こんな感じだったかと、ポーズを取りながら同じように滑り込んだ。すると、得も言われぬ愉快な気持ちになった。何か体の奥底から自然と喜びが湧いてくるような、おおよそこの殺し合いの場にはふさわしくない感情に支配され、顔が綻び始めた。
 間違いない。アッサリンは本物の霊媒師だ。そもそも予言者のメグルがネオを人狼と言っているのだから霊媒師はアッサリンになる。キンバリーの可能性もゼロではないが、あのポーズの説得力には勝てない。
 
 もう今日の投票は考えることはなかった。ネオを処刑する。ピコーが霊媒師は本物と狂人の組み合わせではないかと主張していることも、ネオが人狼である後押しになった。おおかた、自分が狂人で霊媒師は本物と人狼の組み合わせだと分かっているから霊媒師の処刑を回避させたいのだろう。
 
 だが。本当にいいのだろうか。
 今、私はかなり自分の推理に自信があるし、それはダテも同じだろう。そして、私は知っている。こういう時のダテはしばしば落とし穴にハマり痛い目に遭うことを。
 「ほう。そう思うのか?」
 いやいやいやいやいやいやいやいや。
 大丈夫だ。我々は、間違っていないはずだ。…多分。
 
  投票はほぼ満票でネオ。イーノックにそそのかされたと言っていたが、自分が先に人狼ドラッグを決めていたということか。とんだ堅気だ。
 

4日目

 珍しく夢を見た。キンバリーがモッフンに腹から声を出せと叱咤していた。しかしモッフンの声はかすれた声で殆ど聞こえなかった。しまいにはキンバリーが心配そうな表情を浮かべていた。なんとか腹から声を出して戦って欲しいと懇願していた。人狼に襲撃されたキンバリーが見せた夢だったのだろうか。何か放っておくのもきまりが悪いので、議場にモッフンが無事に来ていたら、腹から声を出せと指導することにした。
 
「モッフン!!おはようございます!!!」
「腹から声を出せ!!」
 議場に来たら、フランクを始めいろんな人間がモッフンの周りに集まり、腹から声を出せと指導していた。どうなっているんだ。皆同じ夢を見ていたというのか。
 ピコーが人狼を見つけたと叫んでいるが、その前に大事なことを確認する必要があった。今、議場にいるのは、タウン・ピコ―・フランク・ダテ・チェルシー・モッフン・メグル・アッサリン
 8人いる。つまり誰も死んでいない。
 狩人ドラッグを決めた人間がまだ生き残っていることに場は騒然となった。予言結果はピコーがダテ人狼、メグルがチェルシー人間。霊媒結果はネオ人狼
 つまり人狼は後1人。メグルに占われていない私、フランク、モッフンの3人に人狼が1匹紛れていると考えるのが自然だろう。
 「狩人がいたら名乗るべきだ」
  フランクが言う。その通りだ。そしてきっと、フランクは狩人で罠を張っている。果たして罠にかかった人物がいた。
 
 「俺、狩人です」
 モッフンだった。皆がモッフンを見つめた瞬間、罠にかかった人狼を仕留めるべく狩人と名乗りを挙げた人物。
 「俺が、本物の狩人だ!」
 ダテだったのか。メグルが人間だと言っているダテが間違いなく本物の狩人だ。つまり最後の人狼はモッフン。
 
 決着は着いた。掟では投票の時間は午後六時。まだ時間はあるがもう議論の必要はない。となれば、やることはひとつ。
 「すみません、締め切りがやばいので原稿書いていいですか?」
 原稿を書く時間が確保できるとは思わなかった。ありがたい。モッフンが狩人と名乗ってくれたおかげだ。モッフンには感謝してもしきれない。
 
 モッフンは最後のあがきとばかりに、
 「俺は狩人だ!!」
 と叫んだ。だが、その叫びは虚しく響いた。
 ダテが「たけのこの里」と書かれたスナック菓子を食べている。ふと横を見ると、メグルは「きのこの山」、アッサリンは「つぶ練りいちご」とそれぞれ書かれたスナック菓子を食べている。
 そうだったのか。あれこそが能力者ドラッグだったのか。いつも見ている何気ないスナック菓子。あんな近くにドラッグがあったなんて。
 姉を探すために50億ドルがどうしても必要だった。しかし、ただの人間である自分が50億ドルをそう簡単に手に入れられると思えない。だったら。人狼ドラッグを決めてでも戦いに勝って50億ドルを手に入れてやる。
 その結果が、これだった。仲間のダルクはあっさり殺され、肝心の姉を探すというミッションは、せっかく見つけたのに血に飢えたネオと自分自身を止められずに殺してしまった。
 ミッションは人狼ドラッグというバグのせいで、失敗に終わった。いや、そもそも自分自身がバグなのかもな。なんで今まで一緒にミッションをこなしていた頼もしいスナイパーが自分の姉だと気付かなかったんだろう。銃の手入れをするキンバリーは、子供の頃に裁縫に悪戦苦闘しながらも丁寧にボタンを縫いつけてくれた姿そっくりだったじゃないか。
 俺はもうすぐ溶鉱炉に叩き落とされて死ぬんだろうな。あっち側にキンバリーがいたら、今度は腹の底から言いたいことを言うんだ。
 
 とりあえずこんなところか。
 おかげさまで原稿が大体仕上がった。さて、後はモッフンを殺すだけだが、念の為に確認しておく必要がある。
 「念の為に皆に聞きたいんだが。これからモッフンを殺して、その後ピコーも殺す。そうなると残り6人で50億ドルを山分けするから、1人あたりおよそ8億ドルがもらえるんだが、この配当金をもっと増やしたいというヤツはいるか?」
 「……」
 いやいやいやいやいやいやいやいや。あくまで意見を聞いただけだ。ダテを見殺しにする気は全くないぞ、落ち着け。今回のミッション、君はよくやってくれたと思っている。ついていってよかった。
 
 投票の時間になった。モッフンを溶鉱炉に叩き込んだ。
 

 決着の朝・エンディング

 7人で朝を迎えた。人狼に襲われた人間はいない。人狼ドラッグを決めた3人をきっちり倒したということか。生き残れてよかった。

 「私に提案があります!この裏切り者を新薬のモルモットにします!!」

 フランクがピコーの肩を掴み宣言する。裏切り者の末路などどうでもいいが、当のピコーは、フランクのその宣言に恍惚とした表情を浮かべ、足にすがりついてじゃれ始めた。裏切り者はドラッグを決めていないはずだが、どのドラッグを決めた手合よりもピコーはイカれていた。偏愛は劇薬である。

 フランクの野望を思い出した。自分の医院を作るという野望。姉のナディアは失ってしまったが、マスコットと新薬のモルモット、そして莫大な金がある。フランクの野望が実現する日はそう遠くはないだろう。

 フランクたちと別れ、書いた原稿を編集者に叩きつけるつもりだったが、考えが変わった。表向きは最高の医療を提供する新進気鋭の病院、しかしその裏ではモルモットを利用し新薬の研究に勤しむ狂気に侵された院長。悪くない。

 どうやら総回診が始まるらしい。「闇の巨塔」、 取材を進めよう。

 

  「フランク教授の、総回診です……」

 

人狼 The Live Playing Party 2014/03/21 19:00 レポート 完】 

 

 というわけで、役職の内訳は以下のとおり。

人狼:ダルク・モッフン・ネオ

予言者:メグル

霊媒師:アッサリン

狩人:ダテ

狂人:ピコ―

人間:タウン、キンバリー、ナディア、イーノック、フランク、チェルシー

 

 二回目の人狼TLPPでしたが、おかげさまでとても楽しい時間を過ごすことが出来ました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。他の出演者の方々や観覧にお越しいただいた方々をはじめ、楽しんでいただけたのであれば望外な幸せでございます。