文豪の書物置き場

文豪タウンが書いた創作物を置いています。本ブログ内の記事はすべてフィクションです。

【KRPTストーリー創作】 リビルド(再構築) -後編-

【Day2/stage4】

  レイディアントクオーツと呼ばれる15個のクオーツ。クオーツの内側にさらに小さいクオーツを含む多重構造になっているクオーツ。これまで通常のクオーツとの違いが明らかになっていなかったが、研究の結果、オートマトンに転用することでオートマトンが何らかの特殊な力を持つことが明らかになっていた。ただし、どのような力が発現するかは研究ではまだ答えは出ておらず、そしてレイディアントクオーツを埋め込まれたオートマトン自身にもわからなかった。どのような能力化は、オートマトン自身が発見するしかなかった。

  また、15個のレイディアントクオーツが合わさることで巨大な一つの「意思」となり世界を統一することができる。

 

 

  南京錠でロックされていた部屋で見つけた、研究の断片と思われる論文、メモの切れ端、ディスプレイに映っていた何がしかの研究結果。得られた情報を元にdaiは演算を開始した。その結果、daiはレイディアントクオーツと呼ばれるものの特徴、そしてそれが自分自身に埋め込まれていることを突き止めた。

  もっとも、得られた情報には研究途上の内容も含まれており、演算結果は100%の精度を保証するものではなかった。しかしdaiの体験も含めて総合的に検証してみると、辻褄の合うことが多く、十分信頼できる演算結果だとdaiは考えていた。これまで人狼協定を共に戦った仲間に何かシンパシーのようなものを直感的に感じたこと、自分の情報整理能力が明らかに他の軍用オートマトンよりも遥かに優れていて、自分がオートマトンなのにも関わらず軍が幹部候補生として迎え入れてくれていること。

  daiは確信した。

  ペルセウス砲の鍵となるのはdai自身、そして残りの14体のレイディアントクオーツを埋め込まれたオートマトンなのだと。

 

  これに気付いているのは、おそらくまだ僕だけだ。だとしたら、僕が止めるしかない。

  人狼協定が始まった。daiは宣誓をした。

「帝国が恐れているのは、人狼だけではない。この僕の存在だ。僕が寝返れば、帝国は劣勢に追い込まれる。この戦いに巻き込むことで、あわよくば僕も葬り去ろうとしている。僕は人類の為に戦うけれど、帝国の言いなりにもならない。必ず生きて帰る!!」
 

 

 

  (くそ、人狼が最初に僕を石にするなんて…!)

  daiは自分の宣誓を後悔した。「自分だけが真相を知っている」と思い込んでいた。真相を知っているのが人狼陣営にいるかもしれないという可能性を、こんなところで見落とすとは思わなかった。万が一、他に真相を知る者がいた場合の宣誓としては、明らかに浅はかだった。

 

「人々を納得させるのに、何が必要なのかわかるかね?」

「力ですか」

「力で人は従うかも知れんが、納得はしない。物語だよ。物語に人は従うんだ」

「物語…ですか」

「古今東西、人々は物語によって生きてきた。神話も宗教も、物語を紡ぎ、人々はその物語を信じて生きてきた。人々は物語を聞き、感動し、そして従う。それが虚構かどうか -いや、虚構であればあるほど、効果は高い。信じる余地がそれだけ生まれるのだからね」

「物語…ですか」

  部下は言葉を繰り返して頷いたが、理解をしていない事は彼の目から読み取れた。

「もうすぐクオーツが15個揃う。後は物語を作るだけだ」

上官が少し誇らしげに、レイディアントクオーツを見やりながら部下に告げた。

「しかしその物語はどうやって作るんですか」

「物語を作るのが得意なやつに作らせる。それが一番確実だ」

「得意なやつ?」

「要するに」

一呼吸置いて、上官は言った。

「普段から戯曲や小説を書いてるような奴のことだよ」

 

  (上官たちの言葉が変わっている!!)

  daiはこれまでとは違う世界に来たのだと気付いた。これまでの世界で得た情報をもとに、上官たちに気付かれないよう演算をした。

  演算が終了し、daiはペルセウス砲が放たれてしまう条件を突き止めた。

  • daiのクオーツが軍の手に渡ってしまうこと
  • タウンが物語を書き続けること

 

(タウンの物語が、軍に使われるだと…!!!)

  daiは演算結果を信じたくなかった。しかし、daiのレイディアントクオーツは、タウンが物語を書き続けることがペルセウス砲のトリガーになることを示していた。

 

  ペルセウス砲を止めるための方法は、タウンが物語を書くことを防ぐこと。しかし、あのタウンが脚本を書くことを止めることは考えられなかった。確かにタウンは年がら年中グダグダ理由をつけては書くことをサボるが、書くこと自体を「止めた」ことは無い。そもそも、タウンは脚本を書くこと以外はからっきしだから、脚本を書くのを止めさせるのは、タウンに死ねと言うことに等しかった。

  (流石に大袈裟過ぎるか…)

  daiはそう思ったが、その想像が頭から離れず、他に有効な手段も思いつかなかったので、止む無く演算を行い、タウンが脚本を書くのを確実に止めさせる方法を確認した。

 

 

  レイディアントクオーツは「タウンを石にすること」と告げた。

 

 

  そして、ペルセウス砲は火を噴いた。

 

【Day1/stage5】 

  次世代アイギス砲の噂は本当だった。「レイディアントクオーツ」を持つオートマトンが、存在する。彼らのクオーツは月光石ではないが、通常のクオーツとも違うものだ。そしてレイディアントクオーツの力は解明されておらず、場合によっては世界を破壊する世界を変えてしまう力すらある。ただし、どのように世界を変えるかは明らかになっていない。

   帝国とコミューンどちらが覇権を握るのかを決定するために、戦いに赴くオートマトンと人間。しかし、その真の目的は帝国軍がレイディアントクオーツを集めること。そのレイディアントクオーツは、次世代アイギス砲「ペルセウス砲」となり世界を恐怖で支配する。

 

 

  こういう設定、プロットを書いたことがある気がする。もし間違いが無ければ、これから自分が赴く戦いは、帝国がレイディアントクオーツを集めるための茶番ということになる。そして、レイディアントクオーツが結晶となり、ペルセウス砲になる。

  そのレイディアントクオーツを、daiが持っているとしたら。daiがペルセウス砲の演算を行う中央回路として生き続けるとしたら。

 自分は、その物語を書いたことがあるのかもしれない。だとしたら、これは私の責任だ。責任を持ってペルセウス砲が生まれるのを阻止しないといけない。

  少なくとも帝国に覇権を握らせていはいけない。表向きは帝国として参加したが、それでは駄目だ。帝国には負けてもらわないといけない。そして、鍵になるのはレイディアントクオーツだ。だが、帝国が負けたとしても、レイディアントクオーツを手に入れてしまえば、結局ペルセウス砲は生まれてしまう。帝国がレイディアントクオーツを入手することも阻止しないといけない。

 

 

  オートマトンは石になるとクオーツも含めて活動を停止する。

  だとしたら。daiを石にしないと、もうペルセウス砲は防げないのかもしれない。

 

  タウンはdaiを石にする決意をした。

  しかしタウンは、daiのレイディアントクオーツは、唯一石化しても生き続けられることを知らなかった。

 

 

「頼む!!daiを石にしてくれぇぇ!!」

タウンはゆうはの足元にすがりながら懇願した。

「あやつを、あやつを石にしないと、次世代アイギス砲が……!!!」

『狂人』として人狼協定に参加したタウンは、敗北した。タウン自身は生存しているが、人狼陣営が負けてしまったので負けである。また敗北陣営はパートナーも含めて石化されてしまうが、狂人の場合はパートナーはお咎めなしのため、石化されるのはタウンだけだった。

「わしはもう石になっても構わんから…!!あいつをどうか…!!」

「落ち着いてください、タウンさん!」

  ゆうは達がタウンを諭すが、タウンの耳には届いていなかった。

(駄目なんじゃ…石にしないと…)

タウンはいつまでも顔を伏せて泣きじゃくっていた。

 

 

(タウンが僕を石にしようとしていた…?)

  daiはクロノステラから届いた一通の電報を読んでいた。人間陣営が勝利したこと、敗北した人狼陣営が石化されたこと、そして狂人として生存敗北したタウンは、daiを石にしようとする望みを持ちながら石化されたこと。

 

(どうして僕を石にしようとしたんだよ…)

  daiは自分の守りたいものが足元から崩れていく感覚に襲われた。

 

 

 

  そして、ペルセウス砲は火を噴いた。

 

 

 【Day2/stage5】

「全ての投票は終了しました。投票の結果、本日処刑されるのは、dai」

3日目の投票終了を告げるアナウンスが会場に流れた。daiは満票を意味するバラを手に取りながら、静かに心の中で快哉を叫んでいた。

  (これでいい。キキが予言者として信じられていれば勝てる。まさか僕が狂人で本物の狩人が初日にいなくなっているなんてわからないだろう)

  daiはアイギス砲の照射が行われる地点に立ちながら、今度こそ本当に戦いが終わることを願った。きっとこのまま、最後の人狼が見つからないまま人間陣営は混乱するのだろう。

  彼らに恨みがあったわけでない。きっと彼らも自分のために、そして自分のパートナーのために懸命に戦っているのだろう。しかし、考えが違うものを追放し続けた結果、人間・帝国は未来を失うのだ。考えが違うからと言って排除ばかりしていては、キリがないしすぐに壁にぶつかる。

  タウンと過ごす中で演算の精度が上がったのかもしれない、とdaiはふと思った。初めから彼とはぶつかってばかりだった。やることなすこと考えること、あらゆることが違いすぎた。しかし、それでもタウンの脚本は素晴らしかったし、自分自身のプロデュースも間違っていなかった。お互い違っていたからこそ、なし得た成果だ。

  でも、これで終わりだ。コミューンが覇権を獲って、オートマトンが嘘をつける世界になる。そして、タウンを石にする。

  僕は帝国の言いなりにならない。

 

 

  クオーツの埋まっていないからくり人形にプログラミングをしている時、もし自分にクオーツが無かったら、と考えたことがある。クオーツのないオートマトンは、役割が与えられて、タウンの物語に沿って動く。プログラミングした通りに、タウンの筋書き通りにしか動かないけど、オートマトンが操られている感じを覚えたことは一度もない。どのオートマトンも生き生きして、自分の「人生」を生きているようにすら見えた。

   もし、オートマトンが自由に嘘をつける世界が来たら、それはどんな世界なのだろう。観劇しながらそんな妄想に浸ったことがある。きっとその世界は、オートマトンも人間のように、あらゆるものになれる。音楽家、曲芸師、軍人、学生、家庭教師、空賊、皇太子、皇妃、悪魔、天使、神様。

  オートマトンはどんな嘘もつける。どんなものにもなれる。

  嘘が、オートマトンの世界を広げるんだ。

 

  もしオートマトンも嘘をつくことができたら、その時は、僕はタウンの物語に出られるのだろうか。

 

 

 

  そして、ペルセウス砲は火を噴いた。

 

 

【Day2/stage2】

「ありがとうございます。ちゃんとよこを残してくれたんだね。じゃあ、そんなみんなに朗報でーす!」

  紫の和装をしたオートマトン『よこ』が、昨日までの泣き腫らした姿とはうって変わった明るい調子で、『かわやん』『もののふ』『ゆうは』に呼びかけた。

 

「幸福のオートマトン、その実態は・・・時を巻き戻す機械がついているからくり人形!」

  この場にいる唯一の人間(帝国側)の陣営であるよこの話に、人狼(コミューン)陣営の三人は信じられないという顔をした。

「時間を戻す…?」

「そんなことがありえるのか…!?」

「初めて聞いたぞ、そんなこと」

  よこのクオーツは月光石ではない以上、よこの言っていることは嘘ではない。しかし、そんな非現実的なことが可能だとは三人とも信じられなかった。

「私のマスターは、みーんな、この力を使って過去の自分を変えてきた。だから幸福になったの!」

  顔を強張らせたまま話を聞くかわやんに、よこは向き合い話した。

「誰かが幸福になったら誰かが不幸になる。…そういうもんなんだよ」

「…じゃあ、ズミも救えるんじゃないか…?」

  かわやんがすがるように呟いた。 

  よこの話が本当なら、力が足りなくて起こってしまった出来事も、力が足りないことで、自分たちを責めることも「無かったこと」にできるのだろうか。

「もし三人が本当に、この戦争が少しでも過ちがあったと思ってるなら」

  よこは太陽の光が射す人狼協定会場の真ん中へ歩き、ここが世界の中心であるというかのように立ち、

「これ、押してくれない?」

  よこは胸のクオーツを突き出した。三人はそのクオーツをじっと見つめた。よこのクオーツ少し赤みがかっていて、乱反射した中の光ををじっと見つめていると色が変わっていくような錯覚を覚えた。

「一つ質問なんだが」

  もののふがよこに尋ねた。

「今の記憶は保持されるのか?」

「どうだろう?よこはマスターたちを過去に飛ばしただけだから、よこにはわからないなー」

  もののふは、明確な答えが返ってこなかったことに少し落胆した。

「ただ」

  そんなもののふを知ってか知らずか、よこは続けた。

「あのかわやんの、あの事件を無かったことにできるかもしれないよ。そうすれば、この戦争だって起こらない!」

「…俺はアイヴィーが救えたら何でも良い。あいつは月光石なんか入っていなかった!」

  その言葉がかわやんたちを決意させた。

 

 

「ちえみちゃん、ごめんねー。ちえみちゃんにはさ、言わなかった。聞かれ無かったからさ。嘘じゃないよ」

  会場の外に向かって、よこは顎を伸ばしたりしておどけてみせた。

   せめて、この戦いがカメラで中継されていて、今の私がちえみちゃんに届きますように。ちえみちゃんがこれを見て少しでも笑ってくれますように。

  そうしないと、カメラの向こうにいるであろう、ちえみが泣いてしまいそうで、よこは耐えられなかった。

 

「正義ってなんだと思いますか?」

「…わからん」

  この場にいる誰にも、正義が何か分からなかった。だから、全員が正義を求めてあがき続けていた。

 

「だが、死んでいった皆のためにも」

  かわやんは一呼吸置いて、話した。

「このクオーツは押すべきだと思う」

「…押しますか」

  ゆうはがもののふとかわやんに聞いた。最後の確認であり、後押しをしてもらうための質問だった。もののふもかわやんも答えなかった。

 

  ゆうはは、よこのクオーツを押した。

  よこが少し微笑み、頭を下げて動きを停止した。

 

 

【Day2/stage3】

「勝ったぞ」

 

  戦いを終えたタウンはdaiに短くそう告げると、カバンを机に置き原稿用紙を取り出し、胡座をかいて胸元から万年筆を取りだした。2・3回深く呼吸をし、目を閉じて10秒ぐらい瞑想を行うと、カッと目を見開き勢いよく万年筆を手に取り、原稿を書き始めた。

 

  (どうしたタウン…?) 

  原稿に集中しているタウンは、髪が逆立ち文字通り鬼のような形相になることがある。今のタウンはまさにその鬼のような形相だった。締切まではまだ期間があるにもかかわらず、タウンが鬼の形相をしながら原稿を書くのは、(大抵は締切直前か直後のどちらかなので)大変珍しいことだった。とはいえ、daiにとっては早めに原稿を書いてくれることは有り難かった。

  (人間が人狼だけを処刑して勝ったんだよね…?)

  daiは人狼協定事務局から、人間が人狼3匹だけを処刑して勝ったと聞いている。いわゆるパーフェクトゲームに近い形だ。また、戦いではタウンが議論をリードし、投票も全て人狼に投票していたとも聞いている。daiとタウンはどちらが人狼協定で参加するかで揉めた。あれだけ揉めた上で完璧に近い結果を出したのだから、タウンは戻ってきたらドヤ顔でうるさいくらいにアピールしてくるとdaiは予想していた。なので、自慢を一切せずに原稿を書いているタウンの姿は、daiにとっては予想外だった。

  daiは返ってくる答えを予想した上でタウンに尋ねてみた。

「人道協定の話、詳しく聞かせてくれない?」

「悪いが後にしてくれ」

  タウンはdaiをあしらった。

 

  (やっぱりな。まぁいいや、原稿書き終わったら詳しく聞こう)

  原稿を書いている最中はいつ何時も、割り込みタスクを発生させないようにする。今度はdaiの予想通りのタウンだった。いつもと何かが違うタウンの様子に気がかりなところはあったが、原稿をきっちり書いてくれるのはdaiにとっては都合が良かった。daiは原稿を書き続けるタウンを邪魔しないよう、執務室を静かに後にした。

 

 

  もし、自分の書いた物語が世界の命運を左右するのだとしたら、どんな展開、結末を書けばペルセウス砲を防ぐことができるのだろう。

  正確な答えはわからなかった。しかし、それでも書き続ければ何かが見えてくるという確信をタウンは持っていた。きっとこの世界には数多の物語があって、ペルセウス砲が火を噴かない物語がどこかにある。だとしたら、自分でその物語を作って辿り着けばいいだけだ。

  タウンは筆を走らせ続けた。

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 「帝国が恐れているのは、人狼だけではない。この僕の存在だ。僕が寝返れば、帝国は劣勢に追い込まれる。この戦いに巻き込むことで、あわよくば僕も葬り去ろうとしている。僕は人類の為に戦うけれど、帝国の言いなりにもならない。必ず生きて帰る!!」

 daiは力強く宣誓した。人類のため、オートマトンのため、パートナーのための戦いだった。

  帝国の言いなりには絶対にならない。

 その瞬間だけは、思想の違う13人の想いが一つになった。

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ーそして、また物語が始まるー

 

-リビルド(再構築)  完-

 

 

 

 

  ふう、とタウンは大きく息を吐いた。着地点が定まらずになかなか書けなかった次の舞台の脚本がやっと書き上がり、タウンは両腕を大きく上に伸ばした。正確には推敲作業がまだ残っているが、後は細かい誤字脱字程度の直しだけで済むだろう。ギリギリになってしまったが、それでも開演までには間に合いそうだ。

  缶詰生活もこれで終わりだと思うと、少し名残惜しくもあった。自分へのご褒美としてカフェで一服することぐらいは許されるだろうとタウンは思い、ホテルのラウンジへ向かった。

 

  ラウンジは程々に混雑しており、一服するにはちょうど良かった。空き過ぎていてもきまりが悪いし、混雑していたら待っている客を気にしなければならず落ち着かない。適度に空席があって、少し遠いところにいる客を観察できるくらいがちょうど良い。

  タウンはウェイターが運んできたダージリンティーを飲みながら、客の観察を始めた。執筆が終わった時に、カフェやバーで客の観察をするのはタウンの習慣になっていた。物語を書き終えた直後に人間やオートマトンのストックをしておく。そうすることで、次回作の登場人物や物語の手がかりになる。タウンはラウンジをぐるりと見回した。

  すると、ラウンジから少し離れたところに一体のオートマトンが居た。そのオートマトンを見て、タウンは違和感を覚えた。ホテルという場所に合わせてスーツこそ着ているが、頬の傷と殺気が残る眼は、明らかに戦場にいるべきオートマトンのそれだったからだ。
(あれは軍用ではないのか…?どうしてあんなオートマトンがここに?)
  タウンの疑問は、ほどなく解消された。その軍用オートマトンが自分に向かって来たからだ。

「脚本家タウン。間違いないな?」

  目の前のオートマトンが呼びかけた。少し気圧されつつ、タウンは答えた。 

「なんじゃいお主は」

 

ーそして、また物語が始まるー